看護師が産休中に受給できる手当金や給付金などの補助・援助制度

1.産休の種類

産休とは出産前後に休業をする、つまり仕事を休むことを言います。育児休業とは異なっており、育休は取得のために勤務期間等の条件がありますが、産休はありません。

正式には産前休業と産後休業という名前で2種類あり、内容も異なります。この2つを合わせて、もしくはどちらを一般的に産休と呼びます。出産に伴う休業のため、取得は女性のみとなります。

産前休業

妊娠してから出産するまでの間、一定期間休業ができます。申請をすれば看護師のような職種や雇用期間、形態に関わらず取得できる権利があります。

私の病院では、産前休暇は出産予定日より8週間前から、産後休暇は出産日より8週間と決まっています。約二ヶ月ずつなので、少し長い方なのかな?と思います。
多胎妊娠の時には産前休暇がもう少し長いです。4週間前からのところもたくさんあるみたいですが、看護師の業務内容から考えると少し短い気もしますよね。
≪看護師コミュニティhttp://www.nurse-community.jp/category1/2372/

産後休業

出産後に一定期間とる休業です。こちらも雇用期間や形態は問いませんが、取得できる権利ではなく「必ず休業をしなければいけない」、看護師のようにいくら忙しい職場であっても働くことができません。

2.給与以外の援助制度

産休中の給与の支払いは法律で定められておらず、勤務先の判断となってしまいます。看護師さんの中には妊娠や出産時に働けない間も給与を期待している方もいるかもしれませんが、実情としては会社の負担となってしまうことから産休中は無給としている会社が多い様です。

ですが安心して出産に望めるよう、様々な制度があります。

出産手当金

産前産後休業期間分に支払われるものです。勤務先からの給与がない場合、この出産手当金が休業期間中の給与代わりとなります。

ですが保険の種類によって支払われる場合とそうでない場合があります。

(出産手当金)

第百二条 被保険者が出産したときは、出産の日(出産の日が出産の予定日後であるときは、出産の予定日)以前四十二日(多胎妊娠の場合においては、九十八日)から出産の日後五十六日までの間において労務に服さなかった期間、出産手当金を支給する。

≪e-Gov(健康保険法 第百二条)http://law.e-gov.go.jp/htmldata/T11/T11HO070.html

この様に健康保険法では出産手当金の支払いが定められているため、健康保険法に基づく協会けんぽ、医療従事者系の保険組合では出産手当金では支払われます。

ですが国民健康保険法ではこの出産手当金について定められていません。そのため、国民健康保険及び医師国民健康保険組合は運営している市区町村の判断となるのですが、支払いをしている市区町村はないのが現状です。

出産手当金の金額

出産手当金の計算方法は以下の通りです。

支給が始まる前の1年間の給与金額を12ヶ月で平均し、次にそれを30で割り、更に2/3にします。端数については、30で割った時点で1の位を四捨五入、最終的に小数点第一位を四捨五入します。

看護師さんの平均給与とされる520万円を例として計算してみます。

例)5,200,000÷12÷30=14,444.444…
四捨五入し、14,440×2÷3=9,626.666…
これを小数点第一位を四捨五入し、9,627円が一日分の手当金となります。

支給が始まる前の保険加入期間が12ヶ月でない場合は、

  • 支給が始まる月以前、継続していた月の標準報酬月額の平均
  • 加入している保険全体の標準報酬月額の平均

のどちらか安い方となります。標準月額報酬とは平均的な報酬の金額で、加入している保険によってそれぞれ定められています。

出産育児一時金

産前休業したかどうかに関わらず出産時に支払われるものです。出産の際の病院代が高額のため、補助するための制度でどの健康保険でも支払われます。

厚生労働省では下記の様に記載しています。

平成21年10月1日から平成23年3月31日までの措置として、出産育児一時金等の支給額を42万円(※)とするとともに、医療機関等へ直接支給される「直接支払制度」が実施されてきました。

平成23年4月1日以降も、妊婦のみなさまの窓口での負担軽減を図るため、引き続き、支給額を42万円(※)とします。

※ 妊娠週数が22週に達していないなど、産科医療補償制度対象出産では無い場合は、39万円(平成27年1月以降は40万4千円)となります。

≪厚生労働省http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/shussan/index.html

この42万円というのは出産にかかる費用の平均で、実際には上回ることもあれば、下回ることもあります。「出産育児一時金<実際の出産費用」となった場合、その差額は妊婦さんに支払われます。

また、保険によってはこの金額から更に付与される場合もあります。

産科医療補償制度

分娩が原因で患者が脳性麻痺になった場合に補償がされる制度で、産科病院が加入する出産に関しての保険の様なものです。2017年9月4日時点では99.9%とほぼ全ての分娩施設が加入しています。

産科医療補償制度に加入している病院で出産すると出産育児一時金の金額が少し高くなる様に見えますが、これは掛け金として発生する金額を乗せているためで実質的に金額は相違ありません。

直接支払制度

出産育児一時金をもらえるとはいえ、高額な出産費用の支払いが負担にならない様に、医療費の請求及び支払いを医療機関が行う「直接支払制度」というものがあります。

医療機関が代わりに支払いと請求を行い、妊婦さんはその差額を支払うことになるので、「42万円前後の出産費用を一度支払う必要がない」ことになります。

この制度の利用は、産科病院が加入している必要があり、加入していても利用するかどうかは妊婦さんの判断となります。まずはかかりつけの産科病院に相談してみて下さい。

産科病院によっては直接支払制度ではなく、受取代理制度というのを利用している場合もありますが、流れとしては同様です。小規模の産科病院の場合に受取代理制度の場合があり、妊婦さんとしては手続きが少々異なります。

出産費貸付制度

出産育児一時金は直接支払い制度ではない場合、実際に支給されるのは出産後すぐ、というわけではありません。その間の経済的な負担軽減のために無利子で貸付を受けられる制度もあります。

あくまで一時的に支払う方への貸付ですので、直接支払い制度を利用していない場合のみとなります。出産育児一時金支給見込額の8割相当額を1万円単位で借りることが可能です。

産前産後休業保険料免除制度

産休中の給与は発生しないことが多いのですが、給与が発生しないと当然保険料も引かれず、支払われない事になります。ですが、引かれない期間の保険資格が喪失になったり、後々の保険料支払い額に上乗せするということはありません。

産休中は保険料は徴収しないと法律で定められているので、給与が発生しない期間の保険料の心配はないのです。しかし、これは健康保険及び年金が対象となります。

3.健康保険の種類

給与以外の手当を受ける際、健康保険の制度を利用する事になります。看護師さん自身が加入している健康保険によって支払われるかや金額が異なりますので、出産前にはどの様な保険に加入しているのかを確認しておくことが必要です。

制度は国民健康保険法か健康保険法のどちらかに基づいています。

国民健康保険

通常は自営業や無職の方が対象となる保険ですが、看護師でも5名未満のクリニックであれば従事者の保険加入は義務ではないため、その場合従業員は自分で地域の国民健康保険に加入することになります。国民健康保険法に基づいている保険です。

医師国民健康保険組合

5名未満の医師やクリニックを対象とした保険です。基本的には5名以上のクリニックや法人は対象外ですが、一部例外もあります。国民健康保険法に基づいている保険で、受けられる内容は国民健康保険と同様に考えてよいです。

個人クリニックであれば、加入保険がこの場合があるので注意しなければなりません。医療法人であれば基本的に協会けんぽもしくは医療従事者の健康保険組合ですが、個人事業から法人になっているクリニックでも医師国民健康保険組合の可能性があります。

協会けんぽ(全国健康保険協会)

健康保険の組合を持てない企業向けの保険です。医療法人の事業者、従業員の多くはこの協会けんぽに加入することになります。健康保険法に基づいています。

その他の医療従事者系保険組合

その他、地域の医療事業者向けの保険組合がある場合があります。一例として東京都医業健康保険組合、神奈川県医療従事者健康保険組合などがあります。

健康保険法に基づいているため協会けんぽに近い内容ですが、別業種で言う会社の保険組合の様なもので、協会けんぽに比べて手当金等の額が多いものがあります。

例えば東京都医業健康保険組合の出産育児一時金では被保険者であれば15,000円、被扶養者であれば12,000円が加えて付与されます。

4.産休の期間及び延長、短縮

産前産後休業でそれぞれ休業の期間が異なります。

労働基準法

法律では下記の様に定められています。

第六十五条 使用者は、六週間(多胎妊娠の場合にあつては、十四週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。

使用者は、産後八週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後六週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。

使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。

第六十六条 使用者は、妊産婦が請求した場合においては、第三十二条の二第一項、第三十二条の四第一項及び第三十二条の五第一項の規定にかかわらず、一週間について第三十二条第一項の労働時間、一日について同条第二項の労働時間を超えて労働させてはならない。

使用者は、妊産婦が請求した場合においては、第三十三条第一項及び第三項並びに第三十六条第一項の規定にかかわらず、時間外労働をさせてはならず、又は休日に労働させてはならない。

使用者は、妊産婦が請求した場合においては、深夜業をさせてはならない。
≪e-Gov(労働基準法 第六十五条、第六十六条)http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO049.html

産前休業

法律では産前6週間(42日)、双子や三つ子等、2人以上の出産であれば14週間(98日)休業することができます。産前休業についてはあくまで「本人が請求した場合」となるので、この期間でも希望すれば看護師さんも勤務が可能です。

産休中に給料が発生しない場合も多いので、体調との判断でギリギリまで勤務するという選択もあります。保険によっては出産手当金が出ますので、いつから休業するべきかはその点も考慮することをおすすめします。

また、休業はしたくないけれども残業や深夜業はしたくない、という場合はそれも請求があれば業務させてはいけないことになっています。

産後休業

産後は8週間(56日)が休業期間で、産前休業とは異なり妊婦さんが働きたいと希望をしても「働かせてはいけない期間」となっています。

ちなみに、希望をすれば「医師が問題ないと判断した場合のみ」で、産後6週間(42日)後から復帰することは可能です。

出産手当金の期間

出産手当金が支払われる保険に加入している場合、出産以前42日から出産後56日までが支払いの期間となりますので、産前産後どちらの期間中も貰えることになります。出産が遅れた場合も、遅れた分だけ支給されます。

また、産休に入ってすぐ受け取れる訳ではなく、口座への振込まで手続き後数ヶ月かかる場合があります。看護師自身の勤務先の担当者の手続きや保険によって異なりますが、おおよそ4ヶ月程かかる場合もあります。

5.条件、確認事項について

出産育児一時金や出産手当には条件があります。産休は法律で定められており誰でも取得できますが、就業規則にも関係する記載がないか確認しておく必要はあります。

出産育児一時金と出産手当金の条件

妊娠4ヶ月(85日)以後の出産

この出産とは早産、流産、人工妊娠中絶を含みます。人工妊娠中絶は経済的理由でも対象となります。

被保険者であること

被保険者とは保険に加入している人のことです。現在は誰でも保険に入ることが義務づけられています。

また、出産育児一時金は被扶養者(夫等家族の人の保険に入ること)であっても、家族出産育児一時金として同様の条件、内容で受け取ることが可能です。被保険者分と被扶養者と、という二重に受け取ることはできません。出産手当金は被扶養者、もしくは国民健康保険、医師国民健康保険組合は対象となりません。

就業規則について

派遣として働く看護師以外の雇用10名以上のクリニックでは就業規則を作成する必要があります。10名未満でも作成している場合もありますが、小さなクリニックでは就業規則を作成していない事があるので、その際は勤務先に確認して下さい。

看護師が確認すべき内容

産休に関しての記載事項として、

  • 期間中有給か無給か(有給の場合は産休中の退職時の給与の返還有無)
  • 産休に入る際には何日前から申告が必要か
  • 産休に入る際に必要な書面があるか

などが記載されている場合があります。法律で定められているので、記載がないもしくは就業規則自体がないから産前産後休業がとれないということはありません。

雇用形態や解雇について

産休は正社員アルバイト、契約社員等どんな雇用形態であっても取得することができます。産休を取ることで解雇にすることは禁じられていますが、有期雇用契約、つまり数ヶ月や1年ごとに契約更新をする様な契約社員については注意が必要です。

うちのパート看護師、週2~3日という人いますが、産休、育休に1年入り、戻ってきた人結構居ますよ(*´ω`*)
パートだからダメって事はないと思います。

あとは育休産休をとらせてもらえるかというのは職場によると思います。まぁ今は看護師不足してるところの方が多いので、辞めてくれって言うところも少ないと思いますけどね(*´ω`*)
≪mamariQhttps://qa.mamari.jp/question/584154

有期雇用契約の注意点

契約社員でも産休を理由に解雇することはできません。正社員の様に常用的に勤務し自動更新している様な場合、産休を理由に更新しないことは「雇い止め」にあたるため同様です。

ですが常用的に雇用する看護師を更新する予定ではなかった場合や、産休以外を理由に契約更新しないという場合は問題がありませんので、必ずしも契約満了時更新されるということではありません。

6.申請方法

手続きが不要で申し出るだけの場合と、妊婦さんの手続きが必要なものとあります。
加入保険や勤務先によっても全て自分で行う場合と勤務先で手続きを進めてくれる場合があります。

申し出の期間及び方法

産前産後休業

産休については基本的に看護師さんの勤務先に申し出るのみです。産後産休保険料免除制度の手続きも事業主が行うものなので、妊婦さんが直接何か手続きする必要はありません。

就業規則に申請期日が定められている場合、期日までに申請しないといけません。法律上は申請すれば休業することができますが、事業主側でも手続きがあることから一般的には一ヶ月位前が休業期間の申請期日となっている様です。

出産手当金

出産手当金を受け取る場合には申請が必要です。最終的には加入している健康保険に書類を申請することになりますが、事業主が記入する欄もあり、保険や勤務先によって直接加入保険宛に書類を送付するか、勤務先を通じてかが異なります。

また、数回に分けて申請する場合、都度手続きが必要です。手続きの度に勤務先の証明が必要となりますが、まとめて産後に申請するよりも早く手当を受け取ることができます。

Q6:出産手当金は、産前・産後分をまとめて申請しないといけませんか?

A6:出産手当金は、産前分、産後分など複数回に分けて申請することも可能です。ただし、事業主の証明欄については、毎回証明が必要です。
なお、医師または助産師の証明欄は1回目の申請が出産後であり、証明によって出産日等が確認できたときは、2回目以降の申請書への証明は省略可能になります。
≪協会けんぽhttps://www.kyoukaikenpo.or.jp/g6/cat620/r311

申請の締め切りは健康保険によって異なりますが、協会けんぽでは休業日翌日から2年間となっています。例えば平成29年9月1日から産前休業に入った場合、休業期間全てを受け取るには平成31年の9月1日までに申請をしないといけません。

手続きはまとめて行えますが、申請は日ごとのため平成31年9月2日に申請した場合、9月1日分は受け取れませんが9月2日以降に休業した分は受け取ることが可能です。

出産育児一時金

出産育児一時金は、直接支払制度を利用し出産費用の方が大きければ産科病院が行うため契約書に記入するだけで手続きは必要ありません。差額を病院に支払い終了です。

出産費用が育児一時金より少ない場合や、直接支払制度を利用しない場合は手続きが必要です。勤務先を通して手続きを行う場合、直接自分が保険組合等に手続きをする場合があります。

また、あくまで出産費の制度となるため、事前の定期的な健康診査の費用の支払いに充てる事はできません。

7.必要書類

基本的に手続きとしては大きな違いはありませんが、健康保険によって異なる場合があります。ここでは協会けんぽの場合の手続きについて紹介します。

産前産後休業

勤務先によっては「産前産後休業届」やそれに準ずるものがありますので、上司や人事部、総務部に確認しておきます。看護師の勤務先にて書類等がない場合は、休業について特に提出するものはありません。

出産手当金

勤務先が手続きしてくれる場合もありますが、提出書面が必要です。健康保険出産手当金支給申請書に妊婦さんや医師の記入部分があり、被保険者証の番号もしくはマイナンバーのコピー等が必要となります。

現在の勤務先で加入期間が1年間に満たない場合は、過去の勤務先の社名や所在地、期間を記載する別紙が必要となります。

出産育児一時金

出産育児一時金を受け取る際、直接支払制度や受取代理制度を利用したか、また出産費の方が少なかったかどうかで必要な書類は異なります。書面の記載情報として被保険者証記号番号、印鑑、金融機関情報が必要です。

直接支払制度、受取代理制度を利用しない場合

「育児一時金支給申請書」を下記の書類を添付して健康保険に送付します。
手続きは勤務先が行う場合があります。

1.医療機関等から交付される直接支払制度に係る代理契約に関する文書の写し
(代理契約を医療機関等と締結していないこと、医療機関等が直接支払制度に対応していない旨が記載されているもの)
2.出産費用の領収・明細書の写し

また、申請書の証明欄に医師・助産婦または市区町村長の出産に関する証明が必要です。もし証明を受けられない場合は、出生届出済証明がされている戸籍謄本等を添付します。

直接支払制度で出産費用の方が大きい場合

かかりつけの産科病院での書面手続きで完了します。出産育児一時金を超えた金額を病院に支払いとなります。

直接支払制度で差額発生時

時期により書類が異なります。直接支払い制度を利用すると、支払いが完了した証明として「支給決定通知書」という書類が届きますが、到着前後で必要な書類は異なります。

「内払金支払依頼書」もしくは「」となり、どちらも書面は一緒ですが、支給決定通知書が到着前であれば、以下2枚の添付書類が必要です。

1.医療機関等から交付される直接支払制度に係る代理契約に関する文書の写し
2.出産費用の領収・明細書の写し

また、2の領収・明細書に「出産年月日」及び「出産児数」が記載されていない場合は申請書の証明欄に医師・助産婦または市区町村長の出産に関する証明をしてもらう必要があります。

育児一時金支給申請書の記載情報として被保険者証記号番号、印鑑、金融機関情報が必要です。支給決定通知書到着前であれば早めに差額を受け取ることができますが、必要な書類が増えることになります。

受取代理制度を利用の場合

出産育児一時金等支給申請書(受取代理用)に記載し、健康保険宛に送付します。勤務先を通じ送付する場合と自分で健康保険宛に送付する場合があります。

出産費用の方が少なかった場合、書類に記載した妊婦さんの口座宛に振込となりますので、再度書類の手続きは不要です。

8.産休中の退職について

産休をとって復帰をする方もいれば、様々な事情から産休中に退職となる方もいます。産休中の退職の手当は、健康保険の種類によって対応が異なります。

協会けんぽであれば退職後も一定条件で給付を受けることが可能です。

国民健康保険では退職で資格喪失

東京都医師国民健康保険組合では下記の様に書かれています。

ポイント「社会保険との違い」

医師国保は国民健康保険ですので、社会保険の様に「退職後6ヶ月以内の出産に対する出産育児一時金の支給」や、産前産後に支給される「出産手当金」という制度はありません。
≪東京都医師国民健康保険組合http://www.tokyo-ishikokuho.or.jp/member/02_kanyu/08.html

小さなクリニック等に勤務する看護師さんで医師国民健康保険組合へ加入していて、産休中に退職した場合、この健康保険からは出産時に一時金は支払われません。ですが一時金が受け取れないということではありません。

退職後から出産までに、国民健康保険に加入するか、夫の社会保険組合の扶養家族にとなっていれば、その保険から支払いがされます。必ず退職時は保険の切り替えを忘れない様にしておいて下さい。

出産手当金は国民健康保険、医師国民健康保険組合では資格があった場合でも支払いの制度自体がないため、退職で変わることはありません。

協会けんぽ等の出産手当金

協会けんぽや医療従者の保険組合であれば健康保険法の対象のため、退職しなかった場合は手当金を受け取れていた条件を満たしていれば、退職をして資格喪失となっても同様に支払われます。

法律では下記の通りです。

被保険者の資格を喪失した日(任意継続被保険者の資格を喪失した者にあっては、その資格を取得した日)の前日まで引き続き一年以上被保険者(任意継続被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く。)であった者(第百六条において「一年以上被保険者であった者」という。)であって、その資格を喪失した際に傷病手当金又は出産手当金の支給を受けているものは、被保険者として受けることができるはずであった期間、継続して同一の保険者からその給付を受けることができる。
≪e-Gov(健康保険法 第百四条)http://law.e-gov.go.jp/htmldata/T11/T11HO070.html

注意するのは、「本来退職していなければ手当給付の対象であること」です。出産手当とは業務をすることができず休業する期間の給付で、その期間は出産前42日(双子以上であれば98日)から出産の日後56日で、出産日は出産前に含まれます。

この期間内に出勤してしまうと「休業しなかった」とみなされてしまいます。協会けんぽでも下記の注意書きがあります。

Q7:会社を退職することになりましたが、退職後の期間についても出産手当金を申請できますか?

A7:次の2点を満たしている場合に退職後も引き続き、出産手当金の支給を受けることができます。
(資格喪失後の継続給付)
1.被保険者の資格を喪失をした日の前日(退職日)までに継続して1年以上の被保険者期間(健康保険任意継続の被保険者期間を除く)があること。
2.資格喪失時に出産手当金を受けているか、または受ける条件を満たしていること。
なお、退職日に出勤したときは、継続給付を受ける条件を満たさないために資格喪失後(退職日の翌日)以降の出産手当金はお支払いできません。
≪協会けんぽhttps://www.kyoukaikenpo.or.jp/g6/cat620/r311

出産前42日より前が実際に最終出勤する日となる様にしなければいけず、また退職日が出産前42日以内でないといけません。

例)9/1出産予定日の場合、7/22日が産前休業開始日となります。

7/15に最後の出勤を終えて有給を消化し、退職日は7/25となるのであれば大丈夫です。これが7/15が退職日になっていると、産前期間から外れ産休手当金の期間でなくなるため支給がされません。

できるだけ有給を残すか、もしくは無給として欠勤扱いにする必要があります。産休中の退職及び有休消化など、実際には勤務先側が難色を示す場合もあると思います。
また、産休中が有給となる場合、産休手当金の対象外のため当然受けることはできません。

罰則はあるか

法律では罰則はありませんし、復帰を前提という記載もなく、受け取った出産手当金は返還の必要がありません。ですが勤務先によっては「産休中を有給」としている際、産休中の退職時は産休中の給与を返還する様就業規則に記載されている場合もあります。

看護師の勤務先の雰囲気、過去の事例はどうか

産休や育休をとった過去の事例が少ない勤務先だと、あまり理解を得られない場合もあります。産休中に退職、もしくは産休を使い切ってからの退職を希望することで良い顔をしない方がいるのも事実です。

女性の多い看護の現場では少ないと思いますが、新しめや小規模のクリニックであればその様なこともあります。退職前に有給消化することと同様で「法律上の権利としてはあるけれど会社の慣習的に難しい」ということもありますが、まずは上司や人事部と相談してみるとトラブルは少ないと思います。それと過去に産休をとった方が職場にいれば、その方に相談してみるのも良いです。

9.産休中に退職となるケース

産休に入る前は復帰を前提と考えている方でも、退職となってしまうことがあります。特に初めての出産であれば、自分も周囲も含め実際に体験してみて初めて気づくことも多いです。

体調不良

出産はホルモンバランスも変化しますし、疲れやすくなってしまうこともあります。出産前は健康な体であっても、出産後何らかの症状が出て回復せず、仕事復帰が難しい状態になることもあります。

周囲の環境変化

夫や義理の親等に出産してから働くことを反対され、退職を余儀なくされるケースもあります。周りとは事前に話しておくことが大切ですが、一度納得してもらった話でも出産をきっかけに変化する可能性もあるようです。

自分の心境変化

子供が可愛くて離れたくなくなってしまう、という理由もあります。人によっては自分勝手ではないか、と思うかもしれません。

ですが「自分は絶対に産後に仕事復帰する」と決めている方でも、辛い思いをして自分がお腹を痛めて出産を経験し、考えが変わってしまうのはよくあることです。心境の変化があること自体は悪い事ではありませんが、理解を示してもらえない場合もあるので、退職を告げる際の理由には悪い印象を与えない様に気を付けると良いと思います。

10.まとめ

産前産後休業は法律で定められているものですが、まだまだ正しい理解をされていない部分もあります。まずは妊婦である自分が制度の正しい知識を持つことが大事です。

看護師として復帰する前提でも、様々な理由から産休中に退職となることもあるので、必ず産休に入る前には全ての業務の引き継ぎをすませておくことをおすすめします。

また、産休は代替要員も必要となり事業主側の業務負担となる部分もあります。上司や同僚と普段から信頼関係を築いておくことが重要です。今後、同様に退職や産休に入る人のためにも円満で業務を終えれると良いですね。

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