実習で受け持った患者さん。
慢性心不全急性増悪で急遽入院してきた方でした。
ご本人はすぐ退院できるつもりでいました。
家族関係が複雑で面会には誰も訪れない毎日。
患者さんと一番長く一緒にいたのは私でした。
当時まだ2年生だった私。
わたしなりに疾患について、看護についてものすごく勉強しました。
呼吸しやすい体位の工夫、深呼吸もなかなか上手くできない方だったので、ベッドサイドで一緒に深呼吸もしました。
患者さんや私たちの願いとは裏腹に、だんだんと状態が悪くなり意識が遠のき、また意識が回復してくる、を繰り返すようになりました。
意識がたまに遠のくことをご自身でもわかっているのか、何気ない時にベッドサイドにいる私の手をギュッと強く握ることもありました。
死ぬのかなぁ、という言葉も聞くようになりました。
もう長くはない、医師も看護師も学校の先生もわかっていました。
そんな状態の患者さんに学生のわたしに他には何ができるのか。毎晩遅くまで考えました。
そして、当時のわたしにできることはきっとすべて提供しました。
それでもいま思うと、もっとお手伝いできたことが、苦痛の緩和のための方法が、たくさんあります。
受け持ち中、祝日があり、その日にお亡くなりになりました。
帰るギリギリまで病室にいて深呼吸を一緒にして、また明後日来ますねと言ったわたしに「おう」と言ってくれたのが最後の言葉。
まだまだひよっこな私で、もっとお手伝いできたことがあった悔しさがいまの私の日々の看護の活力になっています。
学生の私の拙い看護でしたが、〇〇さん、あなたのおかげでいまの私がいます。
ありがとうございます。