寄稿: 新年の良いはなし – るりの看護師1年目より(初出2011年1月20日)
なかよしの患者さんが居る。。。
看護師が患者さんに対して「なかよし」と言うのもオカシナ話であるが。
50歳後半の女性Aさんは肝硬変で入院している。
肝硬変は慢性の疾患だが、Nさんは肝硬変が悪化して入院したのではない。
何度か入院、退院を繰り返していたが今回の入院はそれではない。
日常生活もままならない状況であったらしいが転んだりして足が立たなくなったと言うのだ。
リハビリが目的で入院となった。
病室から出てトイレまでの距離も歩けない。
なのでベットサイドにポータブルトイレを置いている。
しかし、ベットのすぐ横に置いているトイレにさえ行く事が難しい。
行こうとして立ち上がり転倒している。
ナースコールがあり、行ってみるとベッドの下にもぐり込んでいたりする。
Aさんは底抜けに明るい。いつも笑っている。
もともと肝硬変になった原因はお酒の飲み過ぎなのだそうだ。
ご主人もお酒が好きでいつも一緒に飲んでいたらしい。
体重が90キロあまりある。
「若い頃はね、まだ細かったんじゃけど旦那と大酒飲みよったんよ。ははっ。。。ビールから日本酒から何でも飲みよった。梅酒まで飲みよったけんね。はははははっ。。。じゃけん肝臓こわしてしまったんよ。はははっ。。。」
人生そのままを一気に笑い飛ばしているような笑顔だ。
転んでも笑っている。
「どこも打ってないよ。ケガしてない。いっつも転ぶんよ。痛くないよ。はははっ。。。」
それは良いんだけど、90キロの体重を自分で支えられなくなってるAさんを抱き起こしてベットに乗せるには大変なものがある。
応援を呼んで3人くらいで介助する。
転倒したというインシデント報告も書かないといけない。
まだ若いし肉もついているぶん骨折はしにくいかも知れないけど・・・
そんな事になったら笑ってはすまされない。
「Aさん、トイレに行く時には必ずナースコールを押して下さいね。遠慮しないで良いですから。呼んでもらった方が私たちは安心ですから」と念押しをする。