寄稿: 勝って兜の緒を締めよ ~『浮き足立つ部長』 – 実録!『看護師確保日記』より(初出2006年9月6日)
昨日、院長と部長と運転手役の昭和の課長の3名で近郊の看護学校に営業に出かけた。
私は院長のお許しがなく「お留守番」
帰ってきた部長の様子から、なかなかの手応えがあったことが伺える。
「わかりやすい人」というのは、こういうときにありがたいものだ。
ありがたや、ありがたや。
部長「A高校がよかったのよ~!スゴく楽しそうに聞いてくれて、ぜひお願いしますって!!5年一貫校っていいかもよ。やっぱり病院附属のところはその病院にもってかれるでしょ?!」
さらにそのA高校から、今朝になって就職希望学生の情報が入ったもんだから
部長「この学生はうち一本にしますって!ほかにも国立を希望している人が流れるでしょう、って!!」
喜ぶのはいいが、問題があるでしょ?
5年一貫校に限ったことではないが、国試に落ちればただの人となる以上、新卒と経験者、准看護師としての経験者など、バランスよく採用しておかないと、うちのような「中小企業」では新人教育が追いつかなくなる危険性もある。
そして、これまでうちの病院では、この5年一貫校というルートを経た看護師がいないのである。
こういってはナンだが、看護教育が大学化される昨今、高校の基礎教育のなかに看護を盛り込む5年一貫校の実力は未知数なのである。
看護師として働くなかで、高校で学んだ数学や国語、社会なんて関係ないように思う人もいるかもしれないが、私個人としては、高校までの基礎学力はその後の看護師人生にかなり影響すると考えている。
このノー天気な部長の発言には、さらりと釘を刺しておいた。
で、今日改めて思った。
「自分の病院の看護師の数を満たせばいい」という問題ではない。
本当に患者が求めるところ(病院)に、質のよい看護が存在できるのであろうか?
近郊の大病院が露骨な「引き抜き」をしているという。
求められているものが、質ではなく量(数)であることが、ひとりの看護師としてとても悲しくなる。
そういうわけで、今日も院長と部長は営業に出かけて行き、留守番の歯がゆさまじりに「兜の緒」をギューギューに締めておこう。
<今回の作戦で使用したもの>
兜の緒を締め上げるお市の腕力
7対1申請人数到達まで…あと13人
「うち一本で…」の学生 1人